榛原日誌

榛原トリコの日々のクロッキー。

11月15日

フランスのパリのテロのことで、どんよりとした気持ちと恐怖がまるで抜けないでいた。
SNS上では、アイコンをフランス国旗柄にする人がいる一方で、パリのテロにだけ過敏な反応をしていると批判する声もあり。「ここで怯え固まっていたら、テロの思うつぼだから、がんばって平常運転しよう」というような意見に頭では賛同しつつも、気持ちが重たい。フランスが発信する、戦争という言葉をたくさん見る。そうか、あれは戦争だったのか。途端に、テロという言葉が薄くなっていく感覚に陥る。まるでわからなかったことが、理解できる範囲のものになりそうで、そのことに混乱する。

 

夕飯のピザを買いに、雨上がりの夜道を一人で歩いた。

たっぷりと雨水を吸い込んだ草木から、下弦の月に向かって、香りの粒が昇って行く。

 

娘はスイミングで、バタ足が少し上達したらしい。

膝を少し伸ばせるようになったという。

ピザの向こう側で、腕を足にみたてて、「うえ〜した〜うえ〜した〜」とバタ足の様子を再現する夫と娘を眺める。

 

二人が寝室に引き上げて、私はポリエステルでできたファーを広げ、娘に乞われた手袋作りにとりかかる。自転車に乗る時用のものだから、気が楽だ。
ニュースはもうやめにして、録り貯めたポアロを4話流した。
表と裏を間違えて取り付けていたり、布がやぶれて繕ったり、親指の股の浅さにがっくりきたりと相変わらず四苦八苦しながら、目と鼻と耳をつけて、くまのような動物の顔がついた手袋が片方だけ出来上がった。娘の目に付くところに置いて、書斎で少しだけ本を読んでぐらぐらに眠くなって何も考えられなくなってからベッドに入った。

今日は全員が自分のベッドにきちんと収まっていた。猫ですら、寝室内の猫用ベッドの中で寝ていた。目を閉じると、この家を宇宙船のように思う。他の部屋がひと部屋ひと部屋ゆっくりと回転しながら切り離されるが、最終的にこの一番小さな真四角の部屋だけ残れば大丈夫。この部屋に全員いるから。炎を吐きながら我々の寝室は、静かに宇宙空間を飛んで行く。