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榛原誌

榛原トリコの日々のクロッキー。

12月10日

毎年冬になると検討しては結局選べずにいたコーヒーメーカーをとうとう購入。

 

鼻水とめやにで拾ってきた子猫のようになった娘を小児科に連れて行く。

どうか登園許可証が必要になるものではありませんように、と強く祈りながら靴を脱いでいると、母親からメール。
来週入院することになったという。理由は、栄養失調。

食べたくないのだと言う。

 

小児科は空いていて、ここらへんではまだ、大きな流行病はないようだった。

娘の目の疾患は思っていた通り鼻水からきているもので、人にうつるものではないと聞いて安心。目薬と目のまわりに塗る薬と鼻の薬を受け取って帰る。

 

寝室で娘が「今日は、『めがねやどろぼう』にして」と落語をリクエストし、かけてやるも、下げまで聞かずに今日も寝た。

書斎に移動し、強い雨音の中、年賀状を作る。
帰宅した夫が、めずらしく書斎に顔をのぞかせて、ハーゲンダッツのアイスクリームを差し入れてくれた。「ボーナス日だから」

 

作業が終った後、リビングに降りて、夫に、娘の症状と母の入院について話す。
目の端に入って来るTV画面では、幸福な終末ということで、老衰で食べられなくなって死んで行く老人ホームの老人たちのドキュメンタリーがやっていて、私はそれを打ち消すように、立ったまま、ノロウイルスに関して今日得た新しい知識を最初から最後まで夫に話してきかせた。ノロのことを話しながら、私は死んだ猫のことを思い出していた。食べられさえすれば、それで体力が回復すれば、もっと生きられると獣医は言ったのだ。でも、なにをしても食べなかった。とつぜんもりもり食べたときには大喜びで、でも、その後はひどく吐いて、かわいそうで、それ以降はもうどうしても食べなくて水も飲まなくて、やがて、食べない、ということで、死に向けて小さく小さく身体が安定していくのを目の当たりにしながら、そうすることで彼女の身体が楽ならば、このまま私も受け入れていくべきなのだろうかと苦悶した。TVでは食べなくなっていくことで身体が死に向かって安定していく干涸びた老人の様子が映し出されている。
夫はテレビを観たそうに次第生返事になっていったが、私のノロ話は止まらず、最後まで吐き出すように話しきってから、寝室にあがった。